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2025.10.02
タトゥーニードル(針)の選び方と使い方|初心者彫り師向け完全ガイド
- 彫り師になりたいけれど、どんな道具を揃えればいいのかわからない
- 針の種類が多くて選び方が分からない
こんな悩みを抱えている人は少なくありません。
タトゥーは芸術的なセンスだけでなく、正確な技術と知識が必要な世界です。
特に針の種類や太さ、深さの理解が不十分だと、せっかくのデザインも台無しになってしまう可能性があります。
タトゥーはほんの数ミリの違いで仕上がりが大きく変わる繊細な技術。
だからこそ、最初に正しい道具選びをすること、そして針の基礎知識をしっかり学ぶことが大切です。
この記事では、初心者が知っておくべき 針の種類・ゲージ(太さ)・テーパー(先端の長さと角度) を中心に、マシンやデザインツール、衛生管理まで詳しく解説していきます。
針のパッケージ表記の見方
タトゥーニードル(針)は種類やサイズが非常に多いため、購入するときは必ずパッケージに書かれている表記を確認する必要があります。
ほとんどのメーカーは共通のルールで表記しているので、一度覚えてしまえばすぐに読み解けるようになります。
例えば、パッケージの側面に 「1205RL」 と書かれている場合、次のように分解して読みます。
最初の数字(12)=ゲージ(太さ)
ゲージ番号は、1本あたりの針の太さを表し、「12」は0.35mmの太さを意味します。
次の数字(05)=本数
「05」は、0.35mmの針が5本まとまって束になっていることを示しています。
つまり「1205」とあれば、0.35mmの針が5本で構成されているということです。
次のアルファベット(RL)=針の種類
「RL」は Round Liner(ラウンドライナー) の略で、ラインを引くための針を意味します。
この場合は「0.35mmの針を5本束ねたラウンドライナー」となります。
最後のアルファベット(LT)=針先の長さと角度
「LT」はロングテーパーの略で針先の長さと角度を意味します。
ロングテーパーが1番角度が鋭くミディアムテーパー、ショートテーパーとなるごとに針先の長さが短く角度が鈍くなっていきます。
マグナムニードル
例えば 「1009MG」 と表記されている場合は、次の意味になります。
10 → ゲージ番号(0.30mm)
09 → 本数(9本)
MG → Magnum(マグナム:塗りつぶし用の針)
つまり「0.30mmの針が9本まとまったマグナムニードル」を表しています。
ブランドによる表記の違い
メーカーによっては「12」ではなく「0.35」とミリ単位で表記している場合もあります。
例えばポーランドのブランド「クアドロン」では、「35」と書かれていれば0.35mmを意味します。
そのため初心者は、「最初の数字=太さ」「次の数字=本数」「最後の記号=種類」 という基本ルールを覚えておくと安心です。
タトゥー針の太さ(ゲージ)と表記
針の太さは「ゲージ」で表され、数字が大きいほど針は細くなります。
一般的に使われるサイズは
12G(0.35mm)
最も標準的なサイズ。安定感があり、幅広い用途に使える。
アウトラインにもシェーディングにも対応できるため、初心者の基本サイズ。
10G(0.30mm)
やや細めで、繊細なラインにも対応。
8G(0.25mm)
極細ライン専用。毛並み、細文字、写実的なディテールに最適。
最近は「0.25mm」「0.35mm」といったミリ単位の表記が主流になりつつあり、初心者でも直感的に理解しやすいのが特徴です。
用途と選び方のポイント
①細い針(0.20〜0.25mm) → 髪の毛やまつ毛のような細線、ミニマルタトゥー
②標準サイズ(0.30〜0.35mm) → 多くのワンポイントやシンプルなデザイン
③太い針(0.35〜0.40mm) → 力強いアウトライン、和彫りやアメトラの太い表現
細ければ細いほど繊細さを表現できますが、その分ブレやすく安定性に欠けます。
逆に太い針は安定してインクが入りやすいものの、肌への負担が強くなる傾向があります。
プロの彫り師は、自分の得意なジャンルや作風によってゲージを選び分けています。
例えば、リアリズムを得意とするアーティストは極細ゲージを、和彫りやアメトラを得意とするアーティストは太めゲージを好むケースが多いです。
針の種類と用途
タトゥー針は、針の並び方や形によって用途が大きく変わります。ここでは代表的なものを紹介します。
RL(ラウンドライナー)
複数の針が円形にまとまっており、主にラインを描くために使用されます。数字が小さいほど細い線、大きいほど太い線が引ける。
塗りつぶしのアウトライン、また筋彫りなどにも使います。
例:3RLは細い毛並みや小さな文字に、7RLは太めのアウトラインに向く。
RS(ラウンドシェーダー)
円形の配置ですがライナーより広がりがある針になります。
小さい範囲の塗りつぶし、もしくは極太ライン用。和彫りやアメトラなど、塗りつぶしが多いデザインにおすすめです。
MG(マグナムシェーダー)
針が二列に配置された形状。広い面を塗るのに向いています。
CMG(カーブマグナム)
肌に優しいカーブ形状。グラデーションや柔らかい影を出すのに向いている。
初心者がまず揃えるべき4種類
- 3RL(細いライン練習用)
- 5RL(標準的なライン用)
- 7RS(シェーディング用)
- 9CMG(広い影・グラデーション用)
このセットがあればライン・シェーディング・ベタ塗りと一通りの練習が可能です。
テーパー(針先の長さと角度)
針先の長さは「テーパー」と呼ばれ、インクの入り方や仕上がりに影響します。
ショートテーパー:インクがしっかり入りやすい。濃い色を出したいときに有効。
ロングテーパー:より繊細でシャープな仕上がり。グラデーションや細かい表現に適している。
初心者は標準的なミディアムテーパーを使い、慣れてきたら用途に応じて使い分けるのがおすすめです。
花とレタリングタトゥーでの針の使い分け
上の写真は、花とレタリングを組み合わせたタトゥーの実例です。
繊細な文字と花びらの輪郭、自然な陰影、しっかりとした塗りつぶしを表現するために、以下の針を使い分けています。
レタリング/花の輪郭部分
使用針:3005RL(0.30mm・5本のラウンドライナー)
細く繊細な線を描くために使用。文字の美しい曲線や花びらの外周をクリアに表現できます。
花びらのシェーディング(陰影表現)
使用針:1207SEM(0.35mm・7本のソフトエッジマグナム)
花びらに柔らかな陰影を加えるために使用。自然なグラデーションが出せるため、立体感が際立ちます。
花の中央や濃い部分の塗りつぶし
使用針:3509MG(0.35mm・9本のマグナム)
花芯や影の濃い部分にしっかりと色を入れるために使用。広い面積を均一に塗れるので、ムラのない仕上がりが可能です。
このように、「細い線=RL」「柔らかな陰影=SEM」「しっかりした塗り=MG」 という組み合わせで使用することで、文字と花が調和し、バランスの取れた美しい仕上がりになります。
皮膚構造と針の深さ
タトゥーが定着するのは「表皮」ではなく、その下にある「真皮層」です。
インクを表皮に入れても、肌のターンオーバーによって時間とともに消えてしまいます。
しかし真皮層に届けば、一生消えない模様となります。
針の深さは 平均1〜2mm が目安。特に初心者は浅め(約1mm)から試すのがおすすめです。
部位によって皮膚の厚みは異なるので、「常に2mm」というよりも、針の動きやインクの入り方を観察しながら調整することが重要です。
針をタトゥーマシンから4mmほど出しながら、その半分の2mmを皮膚に入れる彫り師もいます。
深すぎる場合 → 肌にダメージを与え、傷跡やインクのにじみ(ブローアウト)が残る
浅すぎる場合 → 色が定着せずに抜けてしまう
マシンの種類と選び方
タトゥーマシンには大きく分けて「コイル式」と「ロータリー式」があります。
- コイル式:力強い動きが特徴。伝統的な仕様だが重くて音も大きめ。
- ロータリー式:モーターで動くため軽量かつ静音。初心者には扱いやすい。
最近はペン型ロータリーが主流になっており、練習用なら 2万円台のマシンでも十分。
プロを目指すなら 3万円以上のメーカー品 を選んだ方が、安定感や耐久性が全然違います。
プロ仕様のものだと、数十万円するものもあります。
詳しくはこちらの記事で紹介していますのでご覧ください。
「タトゥーマシンってどれがいいの?マシンの違いやおすすめのマシン6つを紹介」
デザイン制作に役立つツール:Procreateで効率的に下絵作り
下絵作りにはiPad+Procreateが便利です。
デジタルなので、線や陰影の修正が簡単で、短時間で精度の高い下絵が作れます。
①レイヤーで効率的に修正
線画や陰影を分けて描けば、後から太さや濃さを変えるのも簡単です。
②ステンシル下絵の作成も楽
プリント用に線を調整できるので、肌に転写したときも見やすくなります。
③色や陰影をシミュレーション
デジタル上で完成イメージを確認でき、クライアント提案、カウンセリングもスムーズです。
④拡大・縮小で細部も正確
細かい模様や文字も拡大して丁寧に描けます。
⑤修正履歴で安心
間違えてもすぐ戻せるので、初心者でも安心して描き進められます。
Procreateを使えば、下絵のクオリティを安定させながら、最終のタトゥーイメージもつかみやすくなります。
Procreateのアプリはこちらからダウンロードできます。
こちらの動画でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
インクと衛生管理
使用するインクは、Eternal、Intenze、Dynamic、World Famous などの信頼できるブランドを選びましょう。
特にヨーロッパや日本では、顔料の使用に関する規制が厳しくなっているので、必ず最新情報を確認してから購入してください。
そして何より大事なのが衛生管理。
- 針やチューブは 必ず使い捨て
- グローブ、バリアフィルムは 施術ごとに交換
- 消毒液で器具・作業スペースを 常に清潔に保つ
これらを徹底することで、感染症リスクを避け、お客様からの信頼も得られます。

タトゥーアーティストになりたい方、ぜひKAGEROU TATTOO SHOOL へお越しください!
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まとめ
初心者彫り師がまず覚えるべきは、針の種類・深さ・マシンの特徴・デザインツール・衛生管理 の5つです。
最初は数字や専門用語に戸惑うかもしれませんが、理解が深まれば道具の選び方も自然にわかるようになります。
タトゥーアーティストの道は決して簡単ではありません。
でも、正しい知識と準備を積み重ねていけば、必ず自分らしい作品を生み出せるようになります。
あなたの「彫り師としての第一歩」が、このガイドから始まります。